女子ボクサーとして注目を浴び始めていたRUKA。
彼女は「男女の壁を超えて、自分の力を証明したい」という思いから、特例で男子ボクサーとのエキシビションマッチに挑むことを決めた。
周囲からは無謀だと止められたが、RUKAの瞳には強い決意が宿っていた。
試合当日。観客席は期待と不安が入り混じったざわめきに包まれている。
ゴングと同時に、RUKAは鋭いステップで相手の攻撃をかわし、果敢にジャブを繰り出した。
だが男子ボクサーは冷静だった。タイミングを見計らい、RUKAの隙を突いて腹部に重いパンチを叩き込む。
「ぐっ……!」
声にならないうめきと共に、RUKAの身体が折れ曲がる。
そこからは容赦のない腹パンの嵐。みぞおちを突き上げるような連打に、息も整えられず苦悶の表情を浮かべる。
必死に立ち続けようとするが、足は徐々に重くなり、ガードも下がっていく。
そして最後の一撃。
鳩尾を深くえぐる一発で、RUKAはリング中央に崩れ落ちた。
観客の声援も悲鳴に変わり、レフェリーがカウントを取る中、彼女は立ち上がれない。
挑戦の果てに待っていたのは、無情なダウン――。
リングの床に仰向けに倒れ、荒い呼吸を繰り返すRUKA。
腹部にはまだ鈍い痛みが残り、体は鉛のように重い。
レフェリーが試合終了を告げ、会場は拍手とため息に包まれた。
「……悔しい」
声にならない声が漏れる。
勝ちたいと願い、挑戦する勇気を振り絞って立ったリングだった。
だが結果は無惨なダウン――自分の未熟さと、男女の差の現実を痛感する。
それでもRUKAの目には、涙ではなく強い光が宿っていた。
「このまま終わらせない。必ずもっと強くなってみせる」
苦しみの中で生まれた決意が、静かに彼女を支えていた。
敗北ではあったが、その挑戦と闘志は、確かに人々の心に刻まれていた。
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