新人レスラーYUI、初めての大舞台。
立ちはだかるのは圧倒的な存在感を放つ女王・チャンピオンRUKA。
さらにリングサイドの男子レスラーが加わり、予想もしない展開に――。
信じた人に裏切られ、二人がかりの無慈悲な攻撃。果たしてYUIの運命は…?
『この記事の目次』
絶望のリング

スポットライトがリングを照らす。
観客の大歓声の中、青のコスチュームに身を包んだ新人レスラーYUIがリングに立つ。
対角にはチャンピオンのRUKA。
深い紫の衣装、その瞳には余裕しかなかった。
「新人がチャンピオンに挑むなんて、面白いじゃない」
RUKAは笑みを浮かべる。
「でも…すぐにその無謀さを思い知ることになるわ」
「私は…絶対に負けません! 夢のために、この一戦を勝ちます!」
震える声でYUIは叫ぶが、拳は確かに握られていた。
リングサイドには男子レスラー。彼はYUIのセコンドとして付き添っていた。
「YUI、俺がついてる!安心して全力でぶつかれ!」
ゴングが鳴り、試合が始まった。
序盤、YUIはスピードを活かしドロップキックやフライング技で果敢に挑む。
観客も「いけ!YUI!」と声を上げる。
だが、RUKAのラリアット一発で流れが変わる。
「ぐっ…!」
YUIはマットに叩きつけられ、息が詰まる。
「まだ立てる? 新人さん」
RUKAは髪を掴み、冷酷に笑う。
それでもYUIは必死に立ち上がり、拳を振るう。しかし、そのたびにRUKAは余裕で受け止め、重い技を返していく。
観客の声援も次第に悲鳴混じりになっていった。
そして――YUIがロープに追い詰められた瞬間。
「今だ!」男子レスラーがリングに飛び込んだ。
「助けてくれるんだ!」
YUIの表情に希望が灯る。
だが次の瞬間。
「甘いな、YUI」
男子レスラーの拳がYUIの腹に突き刺さった。
「えっ…? なんで…?」
YUIは崩れ落ちる。観客は一斉にどよめき、悲鳴が上がった。
RUKAは愉快そうに拍手を送る。
「いい判断ね。あなたもやっと分かったでしょ? 勝ち馬に乗る方が楽しいって」
男子レスラーは冷酷に笑い、倒れ込むYUIを見下ろす。
「悪いな、YUI。俺は勝者の側にいたいんだ」
「そんな…信じてたのに…!」
涙を浮かべながら、YUIは声を振り絞る。
二人がかりの攻撃が始まった。
男子レスラーがパワーボムで叩きつけ、苦しむYUIの上にRUKAがボディープレスを重ねる。
「もう立てないでしょう?」
RUKAが勝ち誇ったように笑う。
「カウント取ってみろ!」男子レスラーが叫ぶ。
レフェリーの手がマットを叩く。
「ワン!…ツー!…スリー!」
ゴングが鳴り響く。勝者、RUKA。
観客は騒然とし、YUIの無残な姿に言葉を失った。
リング中央で腕を掲げるRUKAと男子レスラー。その姿は勝者の誇りというより、残酷な支配者そのものだった。
マットに倒れ、意識を失いかけながら、YUIは心の奥で呟いた。
「どうして…信じた人に裏切られて…私は…こんなに…惨めに……」
照明が落ち、リングの中央には絶望に沈むYUIの姿だけが残った。